葬儀の簡単手引き

   

ペースメーカーをしたまま葬儀をして起こる火葬中の事故

心臓の右心房の上にある洞結節という所から出す信号が、刺激伝導路といわれる通路を通って心房から心室、心臓全体にいきわたらせ規則正しく収縮するすることで正しく心臓が働くのですが、何らかの病気によって刺激伝導路が通じなくなったり胴結節自体の働きが弱くなると脈拍が低下してしまいます。そんな時に絶えず心臓の監視をして、脈拍が低下すると刺激を与えて一定の数よりも低い脈拍数になることを防ぐ役割をするのがペースメーカーです。
それは心臓に電気刺激を与えるだけで、病気を治したり心臓の働きを良くすることはできませんが、脈拍がとても低く失神を起こすような人や、常時1分間に40回程度しか拍数のない人たちを対象に、局所麻酔による手術によって皮膚と肋骨の間にジェネレーター本体を入れるポケットを作り、そこから鎖骨下静脈を針で刺しながらリードを入れ、心臓内の適切な場所に埋め込まれます。ペースメーカーには電池が使用されていてその寿命はおよそ7年です。電池の寿命が来ると最初の植え込み手術よりは簡単ですが、再度手術をしてジェネレーターを交換することになります。
このようにペースメーカーを植え込むと、心臓の脈拍が低下しないように常に監視されるので、安心して生活ができますが、注意をしなければいけないこともあります。まずは使用してはいけない電気製品類があるということです。電気こたつや電子レンジなど日常的に使用する電気製品については使用しても全く問題はないのですが、低周波治療器や電気メス、電気風呂などの身体に電気を通すもの、磁気マットやMRIなどの体に時期を通すものの使用についてはできないので、注意事項が書かれた手帳は常に持ち歩き、使用してはいけないものの確認と病院を利用した時に提示することを忘れないことが大切です。また鉄棒などで胸部を圧迫するようなことや作動中のエンジン、漏電中の電気器具に近づくなどの行為など制限される行為もいくつかあります。
このようにペースメーカーを埋め込むことで生活上の制限もたくさんありますが、埋め込んだまま亡くなった場合にも注意をしなければいけないことがあります。そのまま火葬をすると破裂して思わぬ事故につながることもあるのです。たとえば火葬炉を管理する人が内部の確認をするために点検口を開けた途端、破裂した残がいが飛んできて当たってけがをするという可能性や、税金で購入されていて消耗品でもある火葬炉の寿命が短くなってしまうことにもつながります。また破裂のため遺骨の中でも重要な意味のある「のど仏」が損傷してしまう可能性もあります。
このような事故を防ぐためには遺体を葬儀やに運ぶ前に、病院でペースメーカーを取り除く作業を行ってもらうことが大切です。病院で作業をしてもらえば取り出したものは感染性廃棄物として適切に処理されます。ただし、遺体から体内のものを病院側が勝手に取り除くと、病院側に死体損壊罪という罪が課せられるので、遺族の方から申告をするようにします。
もし事情があって取り出すことができない場合には、遺族が葬儀屋にペースメーカーが埋め込まれていることを申告するようにすると、葬儀屋から火葬場の方に連絡が行き、火葬中に点検口を開けないようにするなどの処置がとられ、危険な事故を防ぐことができます。
このように生前中は命を助けてくれる大切なものでも、亡くなった後思わぬ事故を起こして他の人をケガさせたり、住民の税金で運営される火葬場の設備を壊してしまうということもあるので、埋め込んでいる本人は自分が亡くなったら取り除いてから葬儀場に運んでもらうということを家族にも伝えて、認識してもらうことが重要です。

ペースメーカー , 事故 , 感染性廃棄物 , 火葬